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ISDNサービス終了(2028年12月末に予定されているNTT『INSネット』サービスの終了)*1 を機に通信環境を見直す中で、「どのように整理し、どこから優先して進めるべきか」迷うケースも多いのではないでしょうか。
特に、拠点ごとに業務の重要度や利用状況、コスト制約が異なる中で、どこまで対策すべきかの判断は簡単ではありません。その結果、ISDN終了に伴う移行は済ませたものの、「その先の改善に手がついていない」という状態で止まっているケースも多く見られます。
そこで本記事では、音声サービスの移行が完了し現行業務を維持できる状態を前提に、次に検討すべき通信BCP対策を「レベル設計」と「価値配分」の2軸から整理し、初級・中級・上級の具体策、拠点ごとの優先順位付けや判断ポイントまでを解説します。
参考:ISDN終了について
ここで言う『ISDN終了』は2028年12月末に予定されている音声サービスも含めたNTTの『INSネット』サービスの終了を指します。
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【NTT西日本】INSネットの新規申込受付・提供終了について|ニュースリリース - 通信・ICTサービス・ソリューション
通信BCPの対策は、すべてを同じ水準で守る必要はありません。各業務の重要度や影響度を整理し、それぞれに適した対策レベルを設計することが重要です。業務ごとに求められる保護の強さやリスク許容度が異なるため、一律の対策では現実的なコストや運用のバランスが取れません。
現場でも「全拠点を同じレベルで強化した結果、コストが膨らむだけで実効性が伴わなかった」というケースを多く見てきました。「どの業務をどこまで守るのか」を明確にし、各レベルの対策を組み合わせて設計することが有効です。以下では、通信BCPを実務上どう段階設計し、現実的な配分で進めていくべきか、その考え方を整理します。
| 対策レベル | 対象業務の例 | 許容される影響 | 主な対策内容 |
|---|---|---|---|
| 初級 | 社内連絡、一般事務 | 一時停止しても重大影響は少ない | 電話転送、保守オプション |
| 中級 | 店舗運営、営業活動 | 停止すると業務に影響が出る | 回線分散、冗長化、キャリア分散 |
| 上級 | 基幹システム、売上管理 | 停止が許容されない | 異経路構成、自動切替、バックアップ回線 |
さらに、レベル設計と価値配分の関係を1枚のマトリクスで整理すると、「どの業務にどの強度で投資すべきか」が可視化できます。特に注意すべきは、影響度が小さい業務に過剰な対策を施してしまう「過剰投資ゾーン」で、コスト膨張の原因となりやすい領域です。

ここからは、初級・中級・上級の3レベルについて、それぞれの考え方と具体策を整理します。実際の現場では、単独のレベルで完結することは少なく、業務や拠点の特性に応じて複数レベルを組み合わせて設計するのが基本となります。
業務ごとに影響度が異なる通信環境の見直しでは、まず影響が比較的小さい領域から、現実的に取り組みやすい対策を検討することがポイントです。すべての業務で「通信が絶対に止まらない」状態を目指すのではなく、「仮に通信が止まっても、業務の継続が可能な状態」を設計することが初級対策の基本となります。
具体的には、電話の転送設定を活用して代替手段を用意したり、保守オプションを追加して復旧までの時間を短縮することで、最小限のコストで業務停止リスクを抑えます。このアプローチは、業務全体を守るのではなく、優先度が低い部分から段階的に対策していく際に有効です。実際の現場でも、こうしたシンプルな方法で業務継続性を確保している例が数多く見られます。
電話回線が一時的に使えなくなった場合に備えて、転送設定をあらかじめ用意しておくことで、業務連絡や顧客対応の手段を維持できます。たとえば、ボイスワープ*2のようなサービスを利用することで、着信を別の番号へ自動的に転送し、代表番号の着信が止まっても対応先を確保できます。
この仕組みを導入しておけば、障害発生時にも即座に連絡手段を切り替えられるため、営業活動や社内連絡に大きな支障を出さずに済みます。特に、障害の影響が限定的な業務や、致命的な損失につながらない部門では、最小限の投資で現実的な業務継続手段となります。
参考:【公式】NTT東日本|電話|電話 オプションサービス一覧|ボイスワープ|個人のお客さま
復旧までの時間を短くするため、保守オプションを活用する方法も有効です。たとえば、24時間出張修理オプションなどを追加することで、修理訪問に対応できる時間帯の枠が広がり、結果として復旧に着手できるまでの時間が早まることがあります。
通常の修理対応では復旧までに数日かかることもありますが、こうしたオプションを利用することで、業務停止の期間を短縮できる可能性が高まります。初期費用や月額コストを抑えつつ、突発的な障害時のダウンタイムを抑えられるため、特に「完全な冗長化までは不要だが、業務停止の長期化は避けたい」という拠点や部門に適した対策です。
なお、訪問時間や対応内容はベストエフォート(最善努力)が基本となり、対応事業者の稼働状況によっては即時対応を確約するものではない点には留意が必要です。
参考:(24時間出張修理オプション)
フレッツ光 24時間出張修理オプション|サービス|法人のお客さま|NTT東日本
業務への影響が大きい通信環境では、単に復旧を早めるだけでは不十分です。ここでは「止まりにくい構成」を実現するための具体策として、冗長化や影響範囲のコントロールに注目します。
実際の現場では、複数の業務が一本の回線に集約されている状況も見られ、一度障害が発生すると複数部門で同時に業務が止まるリスクがあります。特に複数拠点・複数店舗運営の企業では、特定回線への業務集中が見られるケースも少なくありません。
本社側では冗長化されている一方、各店舗・拠点では1本の光回線に通信・電話・業務システムが集約され、バックアップがない構成も少なくありません。この場合、回線障害が発生すると拠点単位で業務が停止するリスクがあります。
そのため、業務と回線の対応関係を把握したうえで、基幹業務と一般業務を別回線に分けるなど、重要度に応じて分散する設計が求められます。単純な冗長化追加ではなく、「どの業務をどこまで守るか」に応じた構成見直しがポイントです。
実務では、以下の3つの論点を整理することが不可欠です。
| 論点 | 実務で詰まりやすいポイント | 対応の方向性 |
|---|---|---|
| ①分散範囲 | 何をどこまで分散させるか | 影響度で線引きし、基幹/一般で回線を分ける |
| ②優先拠点 | どの拠点・業務で冗長化を優先するか | 重要拠点から段階導入(全社一律は避ける) |
| ③判断材料 | 現状の利用実態が可視化されていない | 通信費データ・構成情報で拠点差を可視化 |
当社では、これらの情報を整理しながらお客さまと現状を確認し、無理のない分散設計と優先順位整理を支援しています。
ひとつの通信事業者に依存していると、障害発生時にはその回線を利用する業務すべてが停止します。また、基幹システムと一般インターネットを同じ回線に集約していると、1度の障害で両方が止まってしまいます。これを防ぐには、キャリア分散と業務分散の両方から回線を設計することが有効です。
| 分散の切り口 | 具体策 | 期待効果 |
|---|---|---|
| キャリア分散 | 主要ネットワークをA社、バックアップをB社に配置 | 事業者障害時にも最低限の業務継続 |
| 業務分散 | 基幹システムと一般業務を別回線に配置 | 1回線障害での全業務停止を回避 |
| 経路分散 | 社内システムと外部通信の経路を分離 | 片方の障害時にも完全停止を回避 |
いずれの設計も、まず現状の回線利用状況と業務との関係性を可視化することが第一歩です。請求データや構成情報を一元的に整理することで、設計の精度が高まります。
重要な業務を担う通信環境においては、「停止してから対応する」では不十分です。求められるのは、障害が発生してもサービスを中断させない、より高度な設計です。これまでの初級・中級の対策が「止まっても動かし続ける」「影響を広げない」ことを重視していたのに対し、この段階では「止まらない」ことそのものを前提とした構成を目指します。
たとえば、通信経路を複数用意し、どちらかが使えなくなった場合も業務を止めずに継続できる仕組みを取り入れることが中心となります。ここでは、光回線とLTE回線の組み合わせによる異経路構成、そして障害時の自動切替により停止を防ぐ設計の具体例について解説します。
業務停止を絶対に避けたい拠点では、通信経路を複数用意し、障害時に自動で切り替わる仕組みが基本となります。光回線とLTE回線を組み合わせて物理的に異なる経路を確保し、光回線側の障害時にはシステムが自動的にLTE回線へ切り替える構成です。
| 設計要素 | 内容 | 効果 |
|---|---|---|
| 異経路構成 | 光回線+LTE回線(物理的に異なる経路) | 単一回線依存からの脱却 |
| 自動切替 | 障害検知時にシステムが自動でLTEへ切替 | 手動対応が不要、停止時間を最小化 |
この構成により、「止まったら復旧する」から「止まらない設計」への転換が実現します。売上や基幹システムに直結する拠点で特に有効です。
上級対策では、回線レベルだけでなく、通信を構成するすべての要素(回線・機器・電源)を含めて、停止リスクを極小化する設計が求められます。多重化や自動切替により停止そのものを防ぐ構成を前提としつつも、こうした設計でもカバーしきれないリスクが残る点には注意が必要です。
なお、こうした無停止を前提とした構成であっても、ルーターや電源設備など回線以外の機器起因によって通信機能が停止する可能性はゼロではありません。そのため、機器障害や物理トラブルに備え、駆けつけ保守や迅速な交換体制を組み合わせることで、停止リスクをより低減する設計が求められます。
ここまで初級・中級・上級の3段階に分けて対策を見てきましたが、実際には単独のレベルで完結することはほとんどありません。ここからは、これら3つをどう組み合わせ、どこにどれだけリソースを配分するかを整理していきます。

通信のBCP対策を検討する際、すべての業務や拠点を同じ仕組みで守ろうとすると、コストがかさむばかりで現実的な運用につながらない場面が多くなります。実際の現場では、業務ごとに必要な対策は異なり、単独の対策ではカバーしきれないケースも少なくありません。そのため、「どの業務にどの程度の対策が必要か」を整理し、複数の手段を組み合わせて設計することが有効です。
通信対策は、業務ごとに影響度や重要性が異なるため、一律ではなく業務価値に応じて強度を配分することが不可欠です。「すべての業務を同じレベルで守ろうとしない」ことがポイントであり、限られた予算やリソースの中で現実的な全体最適を実現できます。
| 業務の性質 | 配分の考え方 | 対策例 |
|---|---|---|
| 社内連絡・一部事務など 止まっても即業務停止しない業務 |
最小限にコスト集中 | 電話転送・保守オプション |
| 店舗運営・営業活動など 止まると業務に影響が出る業務 |
バランス型で現実的に | 回線分散・キャリア分散 |
| 基幹システム・売上管理など 止まると大きな損失・混乱に |
厚く集中投資 | 多重化・バックアップ経路確保 |
この「重要な業務は厚く、それ以外は最小限」という配分原則を徹底することで、全体最適と現実的な運用の両立が可能となります。
考え方が整理できても、現場では「どこから手をつけるか」で手が止まるのが実情です。優先順位の整理まではできているものの、どの拠点から着手すべきか、どのレベルまで対策を施すべきかといった具体的な判断で迷いが生じがちです。特に、拠点ごとに構成や利用実態、障害の発生状況が異なるため、一律の基準で決められないのが実務の難しいところです。
ここからは、拠点ごとの優先順位付けや、判断に必要な情報の整理・把握方法について、現場で陥りやすいつまずきポイントを紐解きます。各拠点の特性や業務の重要度、過去の障害記録などを組み合わせて判断基準をつくるプロセスを具体的に解説します。
複数拠点を持つ企業の場合、通信対策の優先順位を決める際に迷うことが多くあります。「障害発生が多い拠点は最優先か」「コストがかさむ拠点はどこまで見直すべきか」「重要業務を担う拠点にはどのレベルの対策が必要か」といった観点で悩む担当者も少なくありません。実際には、拠点ごとに回線構成や利用状況が違うため、単純な比較では進められません。
具体的には、各拠点における障害や問い合わせの履歴、日常的なコスト、業務の役割や重要度などを総合的に評価することが不可欠です。こうした情報を一覧化し、「業務影響度」と「障害リスク」の2軸で拠点を分類することで、優先順位を可視化できます。

当社では、通信費データ・構成情報・障害履歴を横断的に整理することで、拠点ごとのコスト・利用実態・リスクを比較可能な形に可視化し、実際の判断に落とし込む支援を行っています。
判断の精度を高めるには、個別情報だけでなく、複数のデータを横断的に整理することが重要です。たとえば、通信費の請求情報だけに目を向けていても、実際の利用実態や障害頻度、業務との関係性までは見えてきません。
逆に、障害履歴や構成情報だけを個別に管理していると、費用対効果や全体最適の視点が抜け落ちてしまいます。実務では、通信費データ・構成情報・障害や問い合わせ履歴を一つの基盤で整理し、拠点ごとに比較できる状態にすることが現実的な判断を下すための前提となります。

こうした情報整理ができていない場合、どこから着手すべきか分からず、検討が停滞してしまうケースが多く見られます。情報を横断的にまとめて見える化し、現場の判断材料を整えることが、通信対策の設計を実行に移すための鍵となります。
現時点での判断軸を整えたうえで、中長期的にどう通信対策を進化させていくかも見据えておくことが重要です。2030年代を見据えた通信対策では、障害時の対応を「復旧」から「自動で止まらない状態を維持する」方向へ進化させていく必要があります。従来の段階的な対策では、まずは止まっても業務が続く設計から始まり、次に止まりにくい構成、多重化・バックアップによる「止まらない」設計へと進んできました。
しかし今後は、経路の最適化や自動切替、障害の予兆を検知する仕組みなど、より高度な自動化・先回りの対応が重要となります。ここでは、SD-WANを活用した経路制御・自動切替、そして予兆検知による事前対応へのシフトについて展開します。

通信の信頼性を高める上で、SD-WAN(ソフトウェア制御による広域ネットワーク)は今後の有力な選択肢となります。従来の多重化やバックアップ構成では、回線単位での切替や可用性の確保が中心でしたが、SD-WANを利用することで、ネットワークの状態を常時監視し、遅延やパケットロスなどの通信品質を踏まえて、最適な経路へトラフィックを自動的に振り分けることが可能になります。
業務やアプリケーションごとに適した回線ルートを柔軟に選択できるため、障害時だけでなく平常時から通信品質を最適化し、結果として業務全体の停止リスクを低減することができます。こうした経路制御は、全拠点一律での導入はまだ一般化していませんが、今後は「止めない状態を自動で維持する」ための構成として、一部の企業ではすでに導入が進んでおり、今後も採用が広がっていく可能性があります。
さらに進んだ取り組みとして、障害の発生を待つのではなく、ネットワークの異常傾向や性能低下の兆しを事前に検知し、問題が顕在化する前に対策を打つ流れが求められます。こうした取り組みは、AIや分析技術を活用した監視・予兆検知の高度化によって実現が進みつつあります。
たとえば、回線の品質データや利用状況を継続的に監視し、前兆を捉えた時点で通信経路を切り替えたり、保守対応を前倒しで実施する仕組みです。
これにより、通信断絶などのインシデント発生そのものを減らせる可能性が高まります。このような「予兆対応型」の設計は、現時点では一部の拠点や重要業務に限られますが、2030年代には重要性がさらに高まっていくと考えられます。
通信BCP対策は、単にサービスや設備を選ぶだけでなく、「業務を止めないこと」を目的とした設計プロセスが重要です。特にISDNサービス終了は、通信環境の全体像を把握し、判断できる状態を作る絶好の機会です。
本記事の要点は、以下の3つに集約されます。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| ①レベル設計 | 業務ごとに初級・中級・上級を組み合わせ、一律ではなく段階設計する |
| ②価値配分 | 重要業務は厚く、それ以外は最小限にリソースを配分する |
| ③情報整備 | 通信費・構成・障害履歴を一元化し、拠点ごとに比較できる状態をつくる |
私たちは、通信費データの一元管理を通じて回線の全体像を可視化し、業務ごとの優先順位や影響範囲を整理する支援を行っています。どこから手をつけるべきか、どのレベルまで対策すべきか迷いがあれば、お気軽にご相談ください。実態に即した現状把握から、貴社に最適な設計と段階的な実装まで、伴走型でサポートいたします。
まずは現行回線の棚卸し(回線種別・利用業務・拠点ごとの構成)から始めることが重要です。移行方式(光電話・IP電話等)の選定はその後で、業務影響度と拠点特性の把握が優先順位付けの基礎になります。当社では通信費データと構成情報を横断的に整理する支援を行っています。
業務の重要度と停止時の影響度で判断します。社内連絡など影響が限定的な業務は初級(電話転送・保守オプション)、店舗運営や営業活動は中級(回線分散・キャリア分散)、基幹システムや売上管理は上級(異経路・自動切替)が目安です。全社一律ではなく、業務ごとに配分する設計が現実的です。
業務影響度によります。基幹業務や売上管理を扱う拠点では、光回線1本のみだと工事・障害時に業務全体が停止するリスクがあります。LTE回線などを組み合わせた異経路構成が推奨されます。一方、影響が限定的な拠点では、電話転送や保守オプションだけでも実用的なBCPになります。
「業務影響度 × 障害履歴 × 構成の脆弱性 × コスト」の4軸で総合評価するのが実務的です。売上に直結する拠点や、単一回線集約になっている拠点はリスクが高く優先度が上がります。当社では通信費データ・構成情報・障害履歴を一元管理し、拠点ごとに比較可能な形で可視化する支援を提供しています。
現時点では、基幹業務を扱う重要拠点から段階導入するのが現実的です。2030年代に向けて「止めない状態を自動で維持する」設計の重要性は高まる見込みで、まずは通信品質データの継続監視から始めるのが第一歩となります。全拠点一律導入ではなく、業務価値に応じた配分導入をおすすめします。
監修者|在籍するひかり電話切替アドバイザー
野中 啓祐(のなか けいすけ)
株式会社インボイス ICT営業部
■経歴
2004年に株式会社インボイス入社。約10年間にわたり新規顧客開拓・既存顧客フォローを経験し、2015年より光コラボレーションの営業マネージャーとして大手企業から中小企業まで幅広く担当。
「実現可能なプランニング」をモットーに、これまで300件以上のひかり電話切替支援を実現している。
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