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「電話設備は今の業務に本当に合っているのだろうか」と感じた経験はありませんか。在宅勤務や人員構成の変化*1によって、以前のままの設備が現状にそぐわなくなっているケースが増えています。とりわけISDNサービス終了への対応は、契約や回線を見直すだけでなく、通信環境全体を業務基準で捉え直す好機です。本記事では、単なる棚卸しでは見えてこない「業務と設備のズレ」、見直しの優先順位のつけ方、そして通信BCPの視点までを一気通貫で解説します。
*1(出社状況について)
総務省 情報通信白書 総務省|令和7年版 情報通信白書|テレワーク・オンライン会議
なお、ここでいう通信棚卸しとは、回線や契約内容だけでなく、電話設備や実際の利用状況まで含めて通信環境全体を整理・把握する取り組みを指します。
棚卸しを考える際、回線の本数や契約内容だけを一覧化して満足してしまうケースがよく見られます。しかし本来は、回線と設備、そしてそれらの組み合わせが業務の現場でどのように使われているかまで目を向けることが欠かせません。
設備が現場でどう運用され、日々の業務に本当に合っているのかを確認しなければ、本質的な整理にはなりません。棚卸しとは単なるリスト作成ではなく、設備構成そのものと業務の関係性を明らかにするプロセスです。

棚卸し作業では、設備が「あるかないか」だけでなく、どのような組み合わせで構成されているかを確認する必要があります。ビジネスフォンやPBXがどこに設置され、どの部署でどのように使われているか、役割分担や利用実態までを把握することが重要です。
この視点を持つことで、単に設備を並べる整理から一歩進み、現場運用を支える仕組みとして通信設備を見つめ直すことができます。
通信環境の見直しにおいて、棚卸しはスタート地点です。現状の設備や回線の全体像を正確に把握しておかなければ、どこに過剰や不足があるのか、業務と設備の間にどんなズレが生じているのかを判断できません。
意思決定の土台として、棚卸しで得られる「現状の構成」と「業務との関係性」の情報が欠かせないのです。
多くの企業の電話設備は、導入当時の業務環境や働き方に合わせて構築されています。電話対応が業務の中心だった時代には、複数台の電話機を同時に鳴らし、拠点内で内線を使い分ける構成が重視されました。
こうした背景で設計されたビジネスフォンやPBXが、今も多くの職場にそのまま残っています。ここで重要なのは、「設備そのものに問題がある」のではなく、「従来の業務の前提が今も続いている」ことです。

電話設備は、その時点で必要とされた業務の形に合わせて設計されています。全員が常駐し電話対応を複数人で分担していた時代には、同時着信に応じるチャネル数や内線機能が重視されました。
導入後に業務内容や働き方が変わっても、設備の構成や機能は当時のまま残る傾向があり、現在の業務に最適化されているとは限りません。
見直しを考える際は、機器の新旧を問題にするのではなく、「導入時の業務前提が今もそのまま残っている」ことに注目する必要があります。以前は全員出社・電話対応必須だった職場も、現在は在宅勤務の導入や人員体制の変化で業務環境が大きく変わっています。
それにもかかわらず設備だけが過去のままだと、業務との間にズレが生じます。設備が「使えている」からといって、今の業務に合っているとは限りません。
現場のコミュニケーションは、メールやチャットなどデジタルツールの普及で多様化し、連絡の多くが電話以外の手段で行われるようになりました。
加えて在宅勤務の定着で出社率が下がり、オフィスに常駐する人員が減少。「その場で電話を取る」働き方自体が変わり、電話設備への依存度も以前より低下しています。
少人数で運営される拠点や営業所では、業務効率化の影響で電話対応の専任者を置きにくく、電話設備の利用頻度が下がっています。
在宅勤務の進展で拠点に常時人がいる状況も減り、電話機があっても実際に使われる場面が限られてきています。設備は残っていても「使われていない」「必要以上に多い」状態が目立ちます。
当社が複数拠点の請求データと現地構成を照合するなかでも、電話設備が現状の業務とかみ合っていないケースは少なくありません。たとえば以下のようなものです。
現場では「問題が起きていないから」と現状維持が続きやすいですが、実際には業務の変化に設備が追いついていないことが少なくありません。ズレを見過ごすと、不要なコストや運用負荷が残り続けます。
私たちは複数拠点の通信環境を実態に即して整理する支援を行っており、「今の業務に本当に合っているか」を判断できる状態をつくることの重要性を現場で実感しています。自社の設備状況と業務の現実にギャップを感じている方は、課題の整理や今後の見直し検討のためにも、一度ご相談いただくことで最適な判断材料を得られるはずです。
棚卸しを通じて確認されるのは、設備が業務に対して過剰なケースだけでなく、逆に不足しているケースも存在することです。以前は複数人で同時に電話を受ける体制が前提でしたが、業務効率化や在宅勤務の定着でその必要性は薄れています。
それにもかかわらず昔のままの台数やチャネル数を維持していれば、使われない設備が放置された状態になってしまいます。
逆に業務の変化に伴う通話頻度の増加に設備が追いつかず、必要な機能が不足する例もあります。これらのズレは業界や規模を問わず、幅広い企業に共通して見られる傾向です。
設備が「使えている」だけでは、現在の業務にとって最適とは限りません。トラブルがなければ問題視されにくい一方、業務内容や働き方が変化し、ミスマッチが静かに進行している場合があります。
内線機能や多チャネル対応が必要だった頃の名残で、今はほとんど使われない機能や機器が残っていることもよくあります。利用実態と設備構成の不一致が続くと、コスト面だけでなく将来の見直し時にも余分な手間や混乱を招きかねません。
「動いているから大丈夫」と判断せず、客観的な視点で見直すことが重要です。

ズレの現れ方は業種や拠点の運用形態によって異なります。ただし共通するのは「業務が変わると設備との関係も変化する」という構造です。代表的な業種の傾向を整理します。
| 業種 | 従来の電話利用 | 現在の変化 | 見直しの方向性 |
|---|---|---|---|
| 飲食 | 電話予約が業務の中心でビジネスフォンが必須 | ネット予約の普及で電話予約の比重が低下 | チャネル数の削減・シンプルな構成へ |
| 小売 | 店舗ごとに問い合わせ受電を分担 | 問い合わせのWeb・チャット化が進行 | 拠点間の構成統一・回線集約を検討 |
| オフィス | 全員常駐前提で内線・多回線を整備 | 在宅勤務定着で常駐人数が減少 | クラウドPBX等で利用実態に合わせ最適化 |
どの業種・拠点であっても、「業務の現状に合わせて設備を見直す」ことが最適な運用への第一歩です。現場の運用実態を丁寧に確認し、業務の変化に合わせて構成をアップデートする視点が求められます。
電話設備には複数の構成があり、業務によって適した形は異なります。まずは「自社がどのパターンに該当するのか」を把握することが、見直しの出発点になります。
| 構成パターン | 特徴 | 向く業務 | 留意点 |
|---|---|---|---|
| 電話機のみ | 最小限の設備で運用 | 少人数・受電が少ない拠点 | 拡張性は限定的 |
| 拠点別PBX/ビジネスフォン | 拠点ごとに機器を設置 | 受電が多く内線利用が中心 | 保守・更新の負荷が拠点数分発生 |
| クラウドPBX | 物理設備を減らし複数拠点を集約管理 | 複数拠点・在宅併用 | 回線集約による単一障害点に注意 |
どれが正しいという一律の答えはなく、本当に見るべきなのは「その構成が現在の業務に合っているか」です。電話対応が組織の要になっている職場では従来型設備が有効なこともあります。
まずは自社の業務と設備の関係を整理し、棚卸しの段階で「今、本当に必要な構成か」を確認しましょう。
ISDNサービス終了に伴って現地での切り替え作業が必要になる場面が増えています*2。この対応は、単に回線を切り替えるだけでなく、自社の電話設備全体の構成を改めて把握する絶好の機会です。
普段は意識されない設備の状態や使われ方が現地での作業で明らかになり、「これまでの構成が本当に今の業務に合っているのか」という見直しのきっかけにつながります。
*2(ISDN終了について)
NTT東日本 【公式】NTT東日本|INSネットをご利用の事業者さまへ|固定電話(加入電話・INSネット)のIP網移行
NTT西日本 INSネットのサービス終了について|固定電話・加入電話|NTT西日本
現地作業が発生することで、それまで見えていなかった電話設備や回線の全体像が明らかになります。どの電話機がどの回線につながっているか、PBXやビジネスフォンの設置場所や規模、使われていない機器の存在まで、現場で具体的に把握できます。
契約情報や請求書だけでは分からなかった「実態」としての構成が浮かび上がり、業務とのズレや過不足も見えやすくなります。
当社が支援した現場でも、回線移行のみで完了する企業と、設備構成の見直しまで進める企業に傾向が分かれます。前者は現状維持を優先し、表面上のトラブルがなければ構成を温存しがちです。
対して後者は現地での「見える化」を活かし、余剰設備の撤去や構成の簡素化、運用負荷の軽減を検討します。結果として、見直しまで進んだ企業では今後の運用コストや管理負担に差が出ることも少なくありません。
ISDN終了は、単なる回線移行ではなく設備全体を今の業務に合わせて再設計する契機となり得ます。

設備を見直す際は「どの機器にするか」「最新システムが必要か」に目が行きがちです。しかし本来、設備は業務を支える手段であり、選択や維持の判断は「現在の業務にどれだけ価値をもたらしているか」という視点で行う必要があります。
常時受電が欠かせない部署なら設備を維持する意味があり、利用頻度が減った拠点なら簡素化も選択肢になります。

電話設備は機能やスペックだけで選ぶものではありません。重要なのは現在の業務でどのような役割を果たしているかです。
顧客対応が中心なら着信の取りこぼしを防ぐ機能や同時受電の仕組みが必要ですが、メール・チャットへの移行が進み電話連絡が限定的な拠点では、従来設備を維持する必然性は薄くなります。
導入目的と現場での使われ方を見直し、必要な設備量を冷静に評価することが、過剰投資を防ぐ第一歩です。
設備が過剰、あるいは利用頻度が大きく下がっている場合は、あえて簡素化する判断も現実的です。人員が減り電話対応が限定的な拠点では、大規模なPBXを維持せずシンプルな電話機や回線だけで十分なケースも少なくありません。
利用実態を正確に把握し、必要な機能・規模だけを残すことで、コストや運用負担を抑えられます。「使えているからそのまま」にせず、業務に照らして本当に必要なものを選びましょう。
通信環境の見直しは、すべての拠点・設備を一度に変える必要はありません。限られた人手と予算で成果を出すには、「影響が大きく、かつ着手しやすいところ」から順に手を付ける優先順位の考え方が欠かせません。
判断を後押しする2つの軸を整理します。
拠点や回線ごとに「業務への影響度」と「移行の緊急度」の2軸で仕分けると判断がぶれません。顧客対応の要になる拠点は影響度が高く、ISDNを今も使う拠点は終了期限が迫るため緊急度が高い、といった具合です。
| 区分 | 状態の例 | 着手の目安 |
|---|---|---|
| 影響大 × 緊急高 | 顧客受電の主要拠点でISDNを利用中 | 最優先で移行計画を確定 |
| 影響大 × 緊急低 | 受電は多いが回線はIP化済み | 構成の最適化を計画的に |
| 影響小 × 緊急高 | 利用の少ない拠点でISDNが残存 | 移行と同時に簡素化・撤去を検討 |
| 影響小 × 緊急低 | ほぼ使われていない設備 | 棚卸し結果を見て統廃合を判断 |
優先順位は緊急度だけで決まりません。現状構成を正確に把握できている拠点ほど判断の精度が高く、手戻りのリスクも小さいためです。
実態が見えないまま緊急度だけで着手すると、必要な機能まで削るおそれがあります。まずは棚卸しが済み、業務との関係が整理できた拠点から具体的な見直しに入るのが堅実な進め方です。
通信環境の見直しはコスト最適化だけが目的ではありません。回線や設備が停止したときに業務をどこまで継続できるかという事業継続(BCP)の観点も欠かせません。
ISDNからIP網への移行は、この通信BCPを設計し直す絶好のタイミングでもあります。
拠点の回線をクラウドPBXなどに集約すると、管理はシンプルになりコストも下がります。一方で、回線や接続経路が集約されるほど、そこが止まったときの影響範囲は大きくなります。
効率化と、単一障害点(一か所の停止が全体に波及する状態)のリスクは表裏一体であることを、見直しの段階で意識しておく必要があります。
通信BCPで重要なのは、すべてを二重化することではなく、業務上どうしても止められない機能から優先的に冗長化するという考え方です。
顧客受電が生命線の拠点は回線やインターネット経路のバックアップを確保し、利用の少ない拠点は最小構成に絞るといった濃淡をつけます。優先順位(前章)で整理した影響度が、そのまま冗長化の判断軸になります。
通信棚卸しは、現状の設備が存在するかを確認する工程ではありません。設備・回線・接続といった全体構成を業務との関係で見直し、整理することが本来の目的です。ISDNの終了や働き方の変化により、過去の前提で作られた通信環境と現状の業務との間にズレが生じているケースは多く、見逃したままでは無駄なコストや運用負荷が放置され、将来の変化にも柔軟に対応できません。
現場での棚卸しを通じて利用実態や業務の実情を可視化して初めて、「何が最適か」「どこをどう変えるべきか」を判断できます。そのうえで優先順位をつけて着手し、通信BCPの視点で冗長化の濃淡を設計することが、多拠点を横断した通信環境の整理では特に重要になります。
「どこから手を付けていいか分からない」「今も問題なく使えているのに本当に見直しが必要か」といった不安をお持ちの方も、構成全体を業務の変化に合わせて見直すことで、納得感のある意思決定につなげられます。こうした見直しは、最終的に運用負荷やコストの最適化、将来の業務変化への備えという実務的なメリットに結びつきます。
現状把握から構成設計まで一貫して支援できるパートナーに相談することで、不安や迷いを解消し、安心して次の一歩を踏み出せるでしょう。
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監修者|在籍するひかり電話切替アドバイザー
野中 啓祐(のなか けいすけ)
株式会社インボイス ICT営業部
■経歴
2004年に株式会社インボイス入社。約10年間にわたり新規顧客開拓・既存顧客フォローを経験し、2015年より光コラボレーションの営業マネージャーとして大手企業から中小企業まで幅広く担当。
「実現可能なプランニング」をモットーに、これまで300件以上のひかり電話切替支援を実現している。