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社内稟議とは重要事項の決定の際に、関係者に内容を回覧し承認を得る手続きのことです。書面で稟議を回す場合、効率よく承認を得るのに苦労するケースも多いでしょう。意思決定のスピードを上げたいなら、電子化しインターネット上で稟議を行うのがおすすめです。
この記事では稟議と決裁の違いや稟議書を通すコツ、紙の稟議書を使う問題点と効率化する方法を解説します。
稟議とは重要事項の決定にあたり、上層部や関係者に内容を回覧し、承認・決裁を得る手続きです。これら手続きを社内で行うものをとくに社内稟議と呼び、社内稟議に出すために作成する書類を社内稟議書といいます。
社内稟議が必要な内容としては、以下のように重要度の高いものが挙げられます。
社内稟議は通常、直属の上司や担当部長など、承認者が複数名おり、それぞれから承認を得る必要があります。
社内稟議の活用により会議を開く時間を減らし、重要事項の決定を文書に残せるメリットが生まれます。しかし複数の関係者の承認が必要なため、ワークフローが複雑になりがちで、決定までに時間がかかってしまうことも多いです。
稟議にはいくつかの種類があり、なかでも次の3つが代表的な稟議として挙げられます。
契約稟議とは他社と契約する際に行なう稟議です。費用や条件、返品の規定や担当者名などを記載します。
購買稟議は、備品を購入する際に作成する稟議を指します。
最後に採用稟議はパート、アルバイト、契約社員、正社員など新たに従業員を採用する際に必要な稟議です。
社内稟議と決裁は、どちらも上層部に提案の承認を得る手続きですが、決定権を持つ人数に違いがあります。
稟議は複数人からの承認を得る手続きに対し、決裁は決裁権を持つ一人の決裁権者から承認を得る手続きです。
例えば稟議と決裁を同時に行う場合、稟議は通っても決裁権者から否決されれば、発案が採用されない事態も起こりえます。
なお、稟議や決裁という言葉の使い方は企業により異なるケースもあります。
社内稟議が通りづらい理由は、発案者の問題だけではありません。承認者側のワークフローが使いづらかったり、手間がかかったりする可能性もあります。
ここでは、とくに社内稟議を書面で進める問題点をみていきましょう。
稟議書で社内稟議を進めるとなれば、必然的に次の担当者に書類を回す手間が生じます。また、修正が必要な箇所には手書きでコメントを入れ、担当者に差し戻さなければいけません。
その後、修正し印刷しなおすとなれば、それだけで多くの時間がかかります。さらに、担当者が不在であれば会社に戻るまで稟議は進みません。
以上のように、書類自体を物理的に移動させたり、変更したりする必要があれば、最終的な承認を得るまでに多くの手間と時間がかかってしまいます。
書面で稟議を上げていれば、他の書類に紛れるなどして紛失するリスクも高くなります。もし、承認の途中で稟議書を紛失すれば、印刷しなおし最初から稟議を上げなおさなければいけません。
さらに書類の場合は紛失だけでなく、誰にでも内容が見られ、社外への持ち出しが容易である点も問題です。新しいプロジェクトなど、業務に関わる重要な内容が外部に流出する恐れもあります。
稟議の内容によって、カラーの図解やグラフなどを入れた方が分かりやすくなります。さらに、添付資料などがあれば、稟議書が複数枚に渡ることもあるでしょう。これらの書面を毎回印刷していてはコピー用紙代、カラー印刷代など複数のコストが発生します。さらに、保管にはファイルなども必要です。1回の稟議書に係るコストは少額でも、積み重なればそれなりの支出となるでしょう。
稟議書に法定保管年数は定められていないものの、永久保存としている企業も多くあります。紙で稟議書を管理すれば、保存件数は年々増える一方です。
保管方法がずさんであれば、過去の稟議書を探すだけでも多くの時間を費やすことになるでしょう。一定の年数で処分をするにしても、廃棄にはコストも時間もかかってしまいます。
書面で稟議書を作成する場合、作成者が直接必要な事項を記載します。そのため、内容を誤って記載してしまうかもしれません。
記載内容に誤りがある場合、稟議が承認されるまでに時間がかかってしまいます。
稟議を書面で作成すると、申請者に負担がかかってしまいます。申請者には稟議作成以外にも本来の業務があります。そのため、稟議作成によって本来の業務が滞ってしまうかもしれません。
以上のように、社内稟議を紙で進めると多くの手間や問題が生じます。効率よく稟議を回したい場合は電子化も検討してみてください。次にテンプレートの変更やワークフローの見直しをするとよいでしょう。
書面で稟議を進めている場合は電子化を検討しましょう。社内稟議は以下の方法で電子化できます。
ワークフローシステムは導入コストがかかるものの、申請から承認まで、全て同一システム上で行える点がメリットです。マルチデバイス対応のものも多く、パソコンだけでなくスマートフォンからも承認でき、場所を問わずに対応できます。
エクセルや電子印鑑を使う方法では、コストがかからず現在利用しているテンプレートをそのまま使える点がメリットです。しかし、どのように回覧するかなど、ワークフローの整備が必要です。
稟議書のテンプレートがない場合は作成し、ある場合は内容を見直します。テンプレートがあっても、大枠しか記載されていなければ、発案者により稟議書の精度が異なってしまいます。
誰が発案しても必要な内容が抜け漏れなく記載できるよう、内容を確認してみましょう。
ワークフローシステムをすでに導入している場合は、効率のよい承認順になっているか、承認者は適切かどうかも都度確認しましょう。例えば人事異動があれば、移動先に応じて承認者の変更も必要です。
自動化されているとはいえ、状況に応じてワークフローを変更しないと、不要な承認依頼が発生し業務が滞る恐れもあります。
ワークフローシステムなどを導入し社内稟議を電子化すれば以下のメリットが生まれます。
稟議の承認スピードを上げれば他社よりも先に良い条件を提案するなど、ビジネスを有利に進める上でも役立ちます。また社内稟議がどこで止まっているか可視化されれば、承認者への確認も可能です。
稟議書を電子化すれば、必要な担当者のみに情報を開示でき、情報漏洩などのリスクも減らせます。テレワーク中も稟議書の承認のために出社する必要がなくなるため、柔軟な働き方を進める上でも役立つでしょう。
ワークフローシステムの導入はポイントを押さえたうえで実施しましょう。
ワークフローシステムの導入にあたって押さえておくべきポイントを次の2つです。
ワークフローシステムを導入する際は、社内でどういったニーズがあるかを把握しておきましょう。そのためには、担当者にヒアリングするだけではなく、現在の稟議作成〜申請〜承認の流れを明らかにして、それに応じたシステムを導入することが大切です。
ワークフローシステムは、社内全部署で導入するのではなく、最初は一部の部署で導入しましょう。一部の部署で実施してみて、スムーズに使用できているようであれば、徐々に導入部署を広げていきます。
【まとめ】
重要事項を複数の関係者で確認し、承認する稟議は、企業にとって不可欠な手続きです。しかし、稟議書を分かりやすく作るのが難しかったり、承認自体に手間がかかったり、業務上の負担になるケースも多くなります。
特に紙の稟議書は紛失などの恐れもあるため、効率化したい場合は電子化する方法がおすすめです。ワークフローシステムなどを活用すれば、稟議書の作成・承認・保管を全てインターネット上で行えます。スピーディーな意思決定はビジネスにおいて、とくに重要です。実現するためにも、稟議の電子化を検討してみましょう。