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企業は新入社員の採用や新規事業開始にあたり、大量のパソコンを導入することがあります。企業がパソコンを導入した場合、必要なソフトウェアのインストールやセキュリティ設定など、キッティングをしてすぐに使える様に作業します。
一般的にキッティングを担当するのは情報システム部門です。導入するパソコンが数台であれば、情報システム部門でも対応が可能でしょう。しかし、大量のパソコンを導入するとなると、自社での対応が難しいかもしれません。
本記事では、パソコンのキッティングを手作業で実施する問題点や自動化のメリットなどを解説します。
手作業によるキッティングは次のような問題点を抱えています。
キッティングでは主に次のような作業を実施します。
キッティングは、パソコンのOSやソフトウェアを設定するだけではありません。開封作業や運用管理のためのID貼り付け、台帳への記載もキッティングの一環です。導入するパソコンの台数が少なければ、情報システム部門の担当者だけで対応できるでしょう。しかし、導入するパソコンの台数や担当者の人数によっては、キッティングが大きな負担になりかねません。
何十台、何百台ものパソコンをキッティングするためには、事前にスケジュールを立てる必要があります。スケジュールは作業中にトラブルが発生したときに備えて、柔軟性も求められます。このような綿密なキッティングスケジュールの策定も、情報システム部門の負担になりかねません。
キッティングを手作業で実施すると、情報システム部門がコア業務に集中できない可能性があります。そのため、IT戦略の策定や事業戦略の立案、自社サービスや製品の改善といったコア業務に注力できず、自社のIT戦略の停滞や後退を招きかねません。
コア業務に集中できないことは、人的コストの増加につながるおそれもあります。例えばコア業務を進めるために残業をしているのであれば、残業代が発生します。また、コア業務を進めるために残業が増えると、従業員が疲弊してしまうでしょう。
キッティングを手作業で進める場合、担当者によってクオリティに差が出る可能性があります。クオリティだけでなく、対応するスピードにも担当者による差が生まれるでしょう。また、人の手による設定ミスが発生するリスクも考えらえます。
キッティングにはセキュリティ対策も含まれています。ミスによってセキュリティ対策が万全でないと、情報漏えいやサイバー攻撃の被害に遭うリスクが高まります。
キッティングは、パソコン一台一台を手作業で実施するだけではありません。次のような方法で自動化が可能です。
バッチプログラムとは一定期間データを収集して、一括処理するためのプログラムです。バッチプログラムは、売上げや販売のデータを一定期間集めて処理する際に用いられます。
キッティングにおいてもこの手法が活用可能です。バッチプログラムでキッティングする際は、PowerShell(パワーシェル)やコマンドプロンプトをツールとして使用します。
バッチプログラムでキッティングを自動化する際は、事前にキッティングの作業を分析し、実行順ごとにコマンドを保存します。大量のデータを人的ミスなく処理したり、昼夜を問わずにキッティングを行えるため、スムーズに作業を進められるでしょう。
クローニングによってもキッティングを自動化が可能です。クローニングを導入するにあたっては、事前にマスターとなるパソコンを用意しておきます。マスターと同じ構成のパソコンを複製すればキッティングが可能なため、作業を効率化できます。
しかし、クローニングはデバイスごとにマスターを用意しなければならないため、準備段階にある程度時間が必要です。キッティングしたいデバイスの種類や準備に避ける人員リソースを明確した上でやり方を決めましょう。
キッティングをバッチプログラムやクローニングで自動化することで、次のような効果が期待できます。
キッティングを自動化することで、手作業で実施していたときよりも作業時間を削減できます。キッティングにかかる時間が減ることで、情報システム部門はコア業務に注力できるでしょう。また、キッティング作業時間の削減やコア業務への注力が実現できれば、コストの削減も可能です。
キッティングを自動化すれば、手作業によるミスの発生を削減できます。また、自動化によってキッティングのクオリティの均一化にもつながります。手作業の際に発生していた担当者ごとのムラを減らせるでしょう。
キッティングを自動化していれば、パソコンに突発的なトラブルが発生しても迅速に対応できます。また、急なキッティング対応を依頼されても、自動化していればスムーズに処理できるでしょう。
キッティングの自動化には次のようなデメリットもあります。自動化を検討している場合は、必ず確認しておきましょう。
バッチプログラムの活用やクローニングの導入など、キッティングの自動化には専門的な知識が必要です。自動化にあたっては事前の準備も欠かせません。そのため、キッティング自動化の専門的な知識がない場合、準備完了までに時間がかかる可能性があります。
クローニングでマスターを作成する際は、同じハードウェアで構成されている機種にしか対応することができません。そのため、複数の機種を導入したい場合は、機種ごとにマスターを作成する必要があります。その分事前準備の時間が多くかかることが予想されるので、情報システム部門の負担軽減につながるかどうかの見極めが重要です。
OSのライセンスによっては、クローニングのマスター用のパソコン作成には利用できません。例えばパソコン導入時にインストールされているWindowsは、該当のパソコンのみに使用できるライセンスです。そのため、Windowsでマスターを作成するには、使用端末の数に合わせたボリュームライセンスの購入が必要です。
パソコンのキッティングを効率的に進める方法は自動化だけではありません。アウトソーシングによって、自社の作業負担を軽減することも可能です。アウトソーシングであれば、大量のパソコンを導入した際もキッティングを依頼できます。
パソコンのキッティングをアウトソーシングするメリットは、次のとおりです。
キッティングをアウトソーシングすることで、自動化と同じく自社で発生する負担を軽減できます。アウトソーシングであれば、大量にパソコンを導入した際でも依頼が可能です。そのため、自社の情報システム部門への負荷とコストを軽減できるでしょう。
キッティングは自社で自動化が可能です。しかし、キッティングの自動化にあたっては、専門的な知識が求められます。一方、アウトソーシングであれば専門的なスキルを持った業者に依頼できるため、自社に適した人材がいなくても依頼可能です。
キッティングをアウトソーシングすることで、専門的な知識に基づいたセキュリティ対策が期待できます。自社でのキッティングは担当者の知識や経験に基づいて行われるため、セキュリティ対策に漏れが発生しかねません。セキュリティ対策が脆弱では、情報漏えいにつながる可能性があります。インシデント発生による企業の信用低下や賠償リスクを減らすためにも、専門知識に基づいたセキュリティ対策を講じましょう。
パソコンのキッティングを手作業で実施する場合、情報システム部門に負担が発生するだけでなく、担当者によるクオリティの差が懸念されます。効率的かつ画一的にキッティングを進めるのであれば、自動化を検討してみましょう。自動化は専門的な知識が求められるものの、大量のパソコンのキッティングが可能です。
専門的な知識を用いずに大量のパソコンを効率的にキッティングするのであれば、アウトソーシングがおすすめです。アウトソーシングによって、知識を持った専門家が大量のパソコンを適切にキッティングしてくれます。