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パソコンは企業にとってさまざまな情報を管理する重要な備品です。顧客情報や内部情報、経理情報など決して外部に漏れてはならないものばかりです。万が一情報漏えいしてしまうと、被害者から損害賠償請求される恐れがあります。情報漏えいする原因はいくつかありますが、その中の1つにパソコンの廃棄があります。
パソコンは分かりやすい方法でデータ消去しても実は内部のハードディスクなどにデータが残っている可能性があります。そのため、パソコンを廃棄する際は確実な方法を選択するようにしましょう。そこで本記事では、パソコンの廃棄方法について詳しく解説します。パソコンの廃棄方法について知りたい企業担当者の方は参考にしてください。
パソコンを処分・廃棄するにはどんな方法があるのでしょうか。この章では、パソコンを処分・廃棄する8つの方法について詳しく解説します。
パソコンに損傷がなく、かつ比較的新しい機種であれば、中古買取業者で買い取ってもらえます。なお、メリットとしては高値で買取してもらえる点です。ただし、製造から3年以内や正常に作動することなど、買取の条件は厳しめな点はデメリットとなります。また、パソコンのデータ消去は自身で行う必要があるため、手間がかかります。
リユース企業の無料回収サービスを利用すれば、機種や製造年数に関係なくすべてのパソコンの廃棄が可能です。リサイクル費用や郵送費用などもリユース企業側が負担するため、コスト面において優秀といえます。パソコンのデータ消去は基本自身で行う必要がありますが、中にはデータ消去を行ってくれる企業もあります。
パソコンメーカーは資源有効利用促進法に基づき、パソコンの回収が義務づけられています。パソコンにPCリサイクルマークがある場合は無料で回収してもらえます。なお、ない場合は有料となるので注意が必要です。パソコンのデータ消去はハードディスクを破壊してくれるため、情報漏えいの危険性は低いです。それでも、不安であれば自身で消去することをおすすめします。
パソコンを家電量販店や専門店で買い換える際は、その店の下取りサービスが利用できます。パソコンのデータ消去については店によって対応が異なるので注意が必要です。また、パソコンの年式が古かったり、動作不良などであったりする場合は下取りサービスを受けられない可能性があります。
パソコンの処分において、フリマやオークションのサイト・アプリを利用するのも一つの手です。フリーマーケットやネットオークションであれば、自身の希望価格で買取してもらえる可能性があり、場合によっては他の方法よりも高値で処分できます。ただし、高値で売却するには年式が新しめであったり、正常な動作ができたりするものに限ります。なお、パソコンのデータ消去には対応していないので注意が必要です。
住んでいる自治体によっては、パソコンなどの小型家電の無料回収ボックスが設置されています。パソコン本体だけでなく、パソコン部品にも対応している場合があるため、回収の幅が広いのが特徴です。なお、パソコンのデータ消去については対応していない場合が多く、自身でデータ消去を行う必要があります。仮に対応していたとしてもデータ盗難などの観点から、事前に自身でデータ消去をしておくのが望ましいでしょう。
自治体の認定するリサイクル業者であれば、条件に限らずすべてのパソコンの回収を無料で行ってもらえます。他の手段と異なり、自治体が認めている業者によるものなので信用度は高いです。ただし、パソコンのデータ消去は有料となり、1台あたり3,300円(税込)の料金が発生します。事前に自身で行っておくのが良いでしょう。
古いパソコンや壊れているパソコンであれば、廃棄物業者を利用しましょう。廃棄物業者では、パソコンを含むすべての廃棄物の回収を行っています。送料や処分費用などは有料となりますが、回収までの時間が短く、早期にパソコンの廃棄が可能です。ただし、業者によっては不法投棄などの違法行為を行っていたりする場合があるため、運営元の確認や見積もり金額が相場よりも高くないかを事前に確認しておく必要があります。
パソコンを廃棄する際に注意しておきたい点がいくつかあります。この章では、パソコン廃棄における3つの注意点について詳しく解説します。
パソコンは「資源有効利用促進法」によって、ゴミとして廃棄することができません。使用済みのパソコンを回収・リサイクルする義務があるパソコンメーカーか、小型家電リサイクル法に基づく回収システムで回収してもらう必要があります。回収されたパソコンはデータ破壊や分解などの工程を経て、樹脂や金属などの素材に再資源化されます。そのため、パソコン廃棄を行う際は資源有効利用促進法を遵守することが基本です。
また、パソコン廃棄を外部に委託する際は産業廃棄物管理表を遵守する必要があります。産業廃棄物管理表は、産業廃棄物の流れを把握・管理し、正しく処理されていることを確認する書類です。
パソコンを廃棄する上で、新しいパソコンに取り込むためのデータのバックアップを忘れずに行いましょう。手動で行う場合は外付けハードディスクやUSBメモリ、CDなどの方法があります。また、無料ソフトを使えばコストがかからず自動でバックアップ作業が行えます。ただし、無料ソフトではバックアップができないデータもあるため、その場合は有料ソフトを使ったバックアップがおすすめです。なお、バックアップサービスを行う専門業者もいるため、安全かつ確実なバックアップを行いたい場合は利用しましょう。
企業のパソコンには内部情報や顧客情報など、さまざまな機密データが詰まっています。そのため、適切なデータ消去を行わないと、情報漏えいや第三者による悪用利用などの危険性があります。最悪の場合、損失を被った相手から損害賠償請求される恐れもあります。企業として信用を失わないためにも、専門業者や専門ソフトなどを使って確実なデータ消去を行いましょう。
パソコンを廃棄する前にデータ消去は必須です。中には、データ消去を引き受けてくれる業者もいますが、セキュリティの観点から自身で行うのが望ましいです。この章では、パソコンのデータ消去の3つの方法について詳しく解説します。
専用ソフトを使ってハードディスク内のデータを無意味なデータに上書きすることで消去できます。この方法では手間をかけず内部から確実にデータの破壊ができます。データ消去の専用ソフトは比較的安価で入手できることから、コスト面においても優秀です。ただし、ハードディスクに異常がある場合は、専用ソフトを読み込めず、適切にデータ消去を行えない恐れがあります。
確実な方法として、ハードディスクを物理的に壊すという手があります。やり方としてはパソコンからハードディスクを取り出し、ハンマーなどで破壊するだけです。ただし、機種によってはハードディスクの取り出しが難しい場合があります。取り出したハードディスクは小型家電リサイクルや粗大ごみとして処分します。そのため、この方法では費用はほとんどかかりません。
パソコン内のデータが保存されているハードディスクは、磁気信号の書き込みによってデータの記録をしています。そのため、消磁装置を使って強磁気にかけることで、磁気信号の破壊が可能です。磁気信号が破壊されたハードディスクは内部データが消滅します。ただし、消磁装置は高価であるためコスト面において導入しづらい点が挙げられます。そのため、消磁装置を使ったデータ消去サービスを行っている業者に委託するのが現実的です。
上述の消磁装置などを所有しているパソコン専門店やサポート会社ではデータ消去サービスを提供しています。有料で依頼する必要がありますが、事前に消去方法や見積もりに関する説明があったり、情報漏えい対策を適切に行ってくれたりするため、安全にデータ消去ができます。また、業者によってはデータ消去を無料で行ってくれる場合もあります。
使用しているパソコンがWindows 10であれば、「Cipherコマンド」と呼ばれる機能を使ってデータを消去できます。専用のデータ消去ソフトと同様にハードディスクに傷がつかない方法であるため、消去後に譲渡・売買が可能です。
より詳しくパソコン内のデータ消去について知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
パソコンのデータを消去する5つの方法!処分・売却前の注意点やバックアップ手段を解説
パソコンを廃棄する上で、新しいパソコンにデータを移行するためにバックアップを取る必要があります。この章では、パソコンのバックアップを取る3つの方法について詳しく解説します。
パソコンのバックアップの方法として外部メモリを使う手があります。外部メモリにはさまざまな種類がありますが、ハードディスク(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)を使うのが望ましいです。HDDは大容量のデータを保存できる記憶装置としてさまざまな電子機器で採用されています。SSDはHDDよりも高価ですが、高速書き込みができたり衝撃に強かったりする特徴があります。何より外部メモリであれば、インターネット環境に接続することなくオフラインでもデータ移動ができる点が優秀です。
近年では、クラウドストレージを使ったバックアップ方法が主流となりつつあります。クラウドストレージはネットワーク上にデータ保存ができるため、機器やメディアがなくても容易にデータにアクセス可能です。これまでバックアップの主流であった外部メモリを使った方法では、破損や紛失の危険性がありましたが、クラウドストレージではその心配はありません。クラウドストレージの一番のメリットは、インターネット環境であれば、どこからでもデータへのアクセスが可能になる点です。データ取り扱いの効率が上がり、社外関係者との共有も容易になるでしょう。
移行前のパソコンを移行先のパソコンにLANケーブルをつなぐことで直接バックアップを取ることが可能です。この方法は、バックアップの中でも一番コストがかからない方法になります。また、移行先のパソコンの容量によっては大量のファイル転送に適しています。移行先のパソコンがすでにある場合におすすめの方法です。
パソコンには企業の機密情報が詰まっています。そのため、万が一パソコンを廃棄する際はデータの取り扱いに注意する必要があります。パソコンを廃棄する方法はいくつかありますが、外部に委託する場合などは、あらかじめデータ消去を行っておくことで情報漏えいを防げます。中には、データ消去を受けてくれる業者もいますが、できれば自身で行うのが望ましいです。データ消去は専用ソフトを使うのが一般的ですが、無料のソフトでは範囲に限界があります。有料ソフトを使うか、物理的にハードディスクを破壊する方法などもあるので、自社にとって最適な方法を選択しましょう。