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キッティングとは、メーカーから届いたパソコンの設定などを行い、業務できる状態にすることです。新しいパソコンを導入するときには、キッティングの作業が必要になります。キッティングは専門性が高い作業で、時間もかかります。自社で行う場合は、作業の流れや内容をまとめた分かりやすい手順書があるとスムーズに進められるでしょう。
本記事では、キッティングの手順書の書き方や記載内容などを解説します。
新入社員の入社や新プロジェクトの開始時期には、新たなパソコンの導入が必要となります。大企業の場合、月に数百台ものパソコンを導入することもあるでしょう。
新しいパソコンを導入した際には、パソコンを業務で使用できる状態にするためのキッティングという作業が必要です。キッティングの作業範囲は幅広く、パソコンの台数が多いほど時間も労力もかかります。
キッティングを外部に依頼する場合も、余裕を持って依頼する必要があります。年度初めは新入社員の入社に伴い、パソコンの導入を検討している企業が多いです。依頼するのが遅れてしまうと、希望の時期までに作業が完了しない可能性もあります。
自社でキッティングを行う場合は、業務の繁忙期を避けるようにしましょう。通常業務に加えてキッティング作業を行うのは、負担も大きく人為的ミスも起こりやすくなります。ミスによっては修正作業が必要になったり、情報漏洩が起きてしまったりと、対処するために更に労力がかかってしまいます。キッティングをスムーズに進めるためには、スケジュール管理をはじめ、手順書の作成や必要なソフトウェアの用意など事前の準備が大切です。
キッティングとは、メーカから届いたパソコンを業務で使用できる状態にすることです。開梱から各種設定、IT資産管理台帳への登録まで、キッティングの作業は広範囲にわたります。キッティングの手順は以下の通りです。
一度に複数台パソコンをキッティングするときは、マスターとなるパソコンを設定して、その設定を複製するクローニングという手法がとられることもあります。一台ずつ設定する必要がなくなるため、パソコンの数が多くても効率的に作業することが可能です。一方でマスターPCの作成・検証には時間がかかり、場合によっては1カ月ほどかかることもあります。
キッティングの作業手順については、以下の記事で詳しく紹介しています。
キッティングとは?主な作業項目や必要なスキルを分かりやすく解説
パソコンの導入は、企業によっては毎年行われる作業です。キッティング作業をスムーズに行えるよう事前に準備し、誰が行っても同様に作業できる体制を作っておきましょう。
OSの初期設定後には、仕事に必要なソフトウェアをインストールします。毎回インターネットからダウンロードすると時間がかかってしまいます。事前にインストーラーをUSBメモリなどにダウンロードしておくと、作業の簡略化が可能です。各部署で必要なソフトウェアが異なる場合は、それらをリスト化してまとめましょう。
なお、ソフトウェアのライセンス規約には注意が必要です。ライセンス規約の範囲外の使い方をすると利用違反となります。また、商用利用は有償となるソフトウェアもあるため確認しましょう。
キッティング作業を始める前には、手順書を作成しておくとスムーズです。また、併せてチェックリストを作成し、作業漏れがないよう準備をします。手順書は作業全体の流れや作業内容をまとめたもので、チェックリストは該当の作業が正確に行われたかを確認して実際にレ点などを書き込んでいくものです。
チェックリストには手順書を補完する役割があります。例えば「パソコンを開梱し、通電確認をする」という作業のチェックリストでは、以下のように記載します。
NO. | 作業内容 | チェック内容 | チェック |
---|---|---|---|
1 | パソコンを箱から出し状態を確認する | 梱包内容に間違いがないか 傷や壊れている箇所がないか |
|
2 | 電源を入れて通電を確認する | 通電マークがついているか |
手順書は、確認しやすいよう作業を細かく記載することが大切です。以下の内容は必ず含めるようにしましょう。
それぞれ詳しく説明します。
作業名には、何の作業の手順なのかを分かりやすく記載しましょう。キッティングの場合「パソコンOSの初期設定を実施する」などが該当します。
また、その作業を行う目的も明記しておくと、作業者も理解しやすくなり作業の確実性が上がります。
キッティング作業には、OSやソフトウェアが必要となる場合があります。インストーラーをダウンロードしたUSBなどがあれば、ツールとして記載しましょう。必要なツールをまとめておくと作業効率が上がります。
作業ごとに手順を細かく明記します。設定画面の写真などを挿入して分かりやすく作成しましょう。また、インストールにかかる時間なども具体的に記載すると、正常に進んでいるのかを作業者が判断しやすくなります。
作業がどのような状態になったら完了するのかを説明します。例えば、「インストールが完了しました」の文字が出るまでなどです。
判断基準となる画面の写真や画像があると、より確認しやすくなるでしょう。
作業ごとの注意事項や間違いやすいポイントをまとめます。作業ミスが発生しないよう、些細な内容でも記載することが重要です。エラー画面やエラーが起きた際の対処法も記載しておくとよいでしょう。
キッティングの手順書を作成する際は、まず作業を全て洗い出してから、記載する内容や順番を決めていくとよいでしょう。作成後は実際にテストを行い、手順書に不備や漏れがないかを確認することも大切です。キッティングの手順書を作成する流れを解説します。
キッティング作業では、パソコンを梱包から出し、初期設定や周辺機器との接続を行います。作業に必要な流れを書き出し、順番を整えておくと手順書の作成がスムーズです。まずは、順番は気にせず思いつく作業を全て洗い出し、その後確認しながら整理していくようにします。複数の担当者で意見を出し合うと、作業手順の抜け漏れを減らせるでしょう。
キッティング作業中の画面などの写真や画像があると、作業者が理解しやすくなります。実際にクリックする箇所や注意すべきポイントに印をつけると、より分かりやすくなります。写真や画像は随時更新をして、新しいものを用意するようにしましょう。情報が古いとミスにつながりかねません。
作業手順を書き出し、集めた画像を挿入します。手順書の文章は、できるだけ分かりやすく書くことが重要です。略称や難しい専門用語は使わないようにしましょう。書き手によって差が出ないよう、使う単語を統一したり、色の使い方などを決めておくことも大切です。誰が読んでも正確に作業できる手順書になるよう心がけましょう。
手順書が完成したら、実際に手順書に沿って作業を行い、問題なく進められるかをチェックします。普段作業をしている担当者だけでなく、他部署の社員などその作業をしたことがない人にもテストしてもらうようにしましょう。その手順書を見て誰もが同じ作業をできるかを確認するためです。テスト後はフィードバックをもらい、分かりづらい部分は修正します。修正したら再度テストを行いましょう。
キッティングに必要となる情報は、最新かどうかを定期的に確認することが重要です。システムのバージョンのアップデートなど以外にも社内の業務フローが変わることもあるでしょう。せっかく作成した手順書も情報が古くなってしまえば、使用されなくなったり、作業ミスにつながってしまうことも有り得ます。手順書を有効活用するためにも定期的な見直しが必要です。
手順書を作成すると、誰でも同じクオリティで作業ができるため、キッティングの効率化が期待できます。しかし、手順書を一から作成するのには、時間も手間もかかります。手順書を作成できるツールやテンプレート・サンプルの活用も検討しましょう。
以下のようなツールを使うことで、簡単に手順書を作成することができます。
以下のサイトでは、手順書に利用できるテンプレートやサンプルがダウンロードできます。サイト内では、手順書のサンプルや作り方も紹介されていますので、参考にしてみましょう。
キッティングには、専門知識が必要で細かな作業もあります。自社で行う際には、分かりやすい手順書があるとスムーズに作業を進められます。しかし、作業項目は多岐に渡り、手順書を作るだけでも大変な作業です。一から作成するのが難しい場合は、ツールやテンプレートの使用や、サンプルなどを参考にするのもよいでしょう。