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パソコンは消耗品であるため、古くなったら買い替えを検討しなければなりません。
その際、古いパソコンは処分することになりますが、パソコンには機密情報や顧客の個人情報などの大切なデータが保存されているため、適切な方法で廃棄する必要があります。
本記事では、パソコンのデータを消去する必要性や、データを消去する方法と流れ、データを消去する際の注意点、無料で廃棄できるサービスについて解説します。
パソコンを処分する際、内部に保存されたデータを消去しなければならないと言われている理由は、情報漏えいを防ぐためです。業務用パソコンには、会社の経営にまつわる機密情報や、取引先・顧客の個人情報などが保存されています。これらのデータを消去せずにパソコンを廃棄した場合、悪意ある第三者がパソコンを回収し、中のデータを悪用するおそれがあります。
個人情報の中には、名前や性別、年齢、生年月日、住所、メールアドレス、電話番号など個人を特定する情報が含まれている他、口座情報やクレジットカード情報などが入っている場合も少なくありません。これらの情報が漏えいしたことによって、実際に取引先や顧客が何らかの被害を被った場合、会社側に損害賠償の責任が生じる可能性があります。実害が生じなかったとしても、取引先や顧客から預かった大事な情報を外部に漏えいさせた場合、会社としてのイメージダウンや信用失墜は避けられません。
取引の中止や顧客離れなどのリスクが高まり、今後の経営に支障を来すことも考えられますので、古いパソコンは然るべき方法でデータを消去してから処分することが大切です。
古い業務用パソコンを廃棄するにあたって注意したいポイントを4つ紹介します。
法人が業務に使用しているパソコンは事業系パソコンに該当するため、産業廃棄物扱いとなります。家庭ごみとして自治体に回収してもらったり、一般廃棄物収集運搬業者を利用してパソコンを廃棄することはできないため、注意しましょう。
資源有効利用促進法とは、循環型社会を形成するために必要な3R(リデュース・リユース・リサイクル)の取り組みを推進するために設けられた法律のことです。同法では10業種・69品目を指定し、事業者による自主回収・リサイクルシステムの取り組みを要求しています。(※)
パソコンは再生資源または再生部品の利用促進に取り組むことが求められる指定再利用促進製品に該当するため、古いパソコンを廃棄する際はごみとして捨てるのではなく、然るべき方法でリサイクルする必要があります。
※出典:経済産業省「資源有効利用促進法」
産業廃棄物管理票(マニフェスト)とは、排出事業者(企業等)が委託した産業廃棄物の処理状況を確認するものです。(※)古いパソコンは前述のとおり、産業廃棄物に該当するため、産業廃棄物処理業者などに処分を委託する場合は、マニフェストを交付する必要があります。
マニフェストには紙のものと電子式のものの2タイプがあり、後者の方が事務の効率化や書類の保存不要などのメリットがありますが、排出事業者と収集運搬業者、処分業者の3者がマニフェスト制度に加入しなければならないという規定があります。
※出典:公益社団法人 全国産業資源循環連合会「マニフェスト」
一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA)が発表した「パソコンの廃棄・譲渡時におけるハードディスク上のデータ消去に関する留意事項」では、パソコン上のデータは自己責任の原則に則り、あくまでユーザーの責任で管理されるべきものと定義しています。(※)
つまり、古い業務用パソコンに保存されたデータの処分は、使用していた会社側が責任を持って行わなければなりません。どの廃棄方法を選択したとしても、データの処分はパソコンを保有していた会社に責任があるということを念頭に置いておきましょう。
※出典:一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA)「パソコンの廃棄・譲渡時におけるハードディスク上のデータ消去に関する留意事項」P2〜3
古いパソコンを廃棄する方法は大きく分けて3つあります。
業務用パソコンのメーカーに処分を依頼する方法です。先で説明した資源有効利用促進法により、使用済みパソコンはメーカーによる回収とリサイクルが義務づけられています。(※)
資源有効利用促進法が制定された2003年10月以降に販売された製品は、無料で回収してもらうことが可能です。ただし、それ以前に販売されたパソコンや、パソコンリサイクルマークのないパソコンに関しては、原則として有償での回収になるので注意が必要です。
なお、メーカーが回収してくれるのは自社のパソコンのみになります。複数メーカーのパソコンを利用している場合、それぞれのメーカーに回収を依頼しなければならない点にも注意が必要です。また、古いパソコンのデータ消去は自分で行わなければならない他、メーカーへの発送手続きも基本的に自己負担となります。
※出典:経済産業省「パソコンのリサイクル(資源有効利用促進法)」
産業廃棄物の運搬や処理を行っている業者にパソコンの廃棄を依頼する方法です。メーカーの別は問わないため、社内で複数メーカーのパソコンを使用している場合に適した廃棄方法といえます。また、パソコン以外の不用品をまとめて処分したいときにもおすすめです。
ただしデータ消去作業は基本的に行っていないため、業者に依頼する前に自社でパソコン内のデータを全消去する必要があります。
パソコンのリサイクルを行っている業者に廃棄を依頼する方法です。古いパソコンをメンテナンスした上で再販売したり、部品を再資源化することで利益を得ているため、メーカーや産業廃棄物処理業者に依頼するよりも費用を安く抑えられる可能性があります。
データの消去を請け負っている業者も多いところが利点ですが、中にはデータを適切に処分してくれない業者もあります。その場合、データが入ったままのパソコンが第三者の手に渡ってしまう可能性もあるため、依頼する際はセキュリティはどうなっているのか、データを消去した証明書を発行してもらえるかなどをよく確認することが重要です。
古いパソコンを廃棄する際は、事前にデータの移行やバックアップ、データの消去を行う必要があります。
ここでは古いパソコンを廃棄する場合の基本的な手順をご紹介します。
古いパソコンに保存されているデータは、今後の業務にも使用する重要な情報のため、新しいパソコンにデータ移行するか、あるいはバックアップを取っておくことが必要です。
新しいパソコンへデータを移行する方法はいくつかあります。
Windowsには古いパソコンから新しいパソコンへデータを移行するWindows転送ツールが標準で備わっています。データ移行は、ネットワークを経由するパターンと、USBメモリなどの記録媒体を介するパターンの2種類です。手軽に移行できるのはネットワーク経由ですが、通信状態が不安定だとデータ移行が失敗する可能性があります。なお、Windows転送ツールでは、インストールされているソフトやデータをすべて移行できるわけではない点にも注意が必要です。
一方、USBメモリや外付けHDD、CD/DVDなどにデータをコピーし、新しいパソコンに移行する方法もあります。データ移行と同時にバックアップも取れるところがメリットですが、移行するデータの容量が大きい場合、大容量の記録媒体を用意するか、あるいは何度かデータのコピー、移行を繰り返さなければならないところがネックになります。
より簡単かつすべてのデータを移行したいのなら、専用ソフトを使う方法がおすすめです。Windows転送ツールで移行できないソフトやデータも丸ごと移すことができるので、古いパソコンの使い勝手をそのまま移行したい場合に便利です。
コストがかかってもいいから、もっと簡単にデータを移行したいというときは、データ移行サービスを提供している業者を利用してもよいでしょう。
データの移行およびバックアップが完了したら、古いパソコンに残ったデータを消去します。データ消去というとWindowsのごみ箱に入れるという手段をイメージする方も多いと思いますが、ごみ箱にデータを入れて空にする作業を行っても、データを完全に削除できるわけではありません。実際、専用のソフトを使えば、空にしたごみ箱からデータを復元することは可能です。同様に、HDDのフォーマットやリカバリーを行ったとしても、データを完全に消去はできません。
古いパソコンのデータを確実に消去するには、HDDを物理的に破壊するか、あるいは専用ソフトや専用サービスを使ってデータを消す必要があります。手っ取り早いのは前者ですが、HDDをハンマーなどで破壊しようとすると、破片が飛び散ってケガをするおそれがあります。安全にデータ消去したい場合は、専用ソフトまたは専用サービスを利用した方がよいでしょう。
メーカーや産業廃棄物処理業者、リサイクル業者などに古いパソコンを回収してもらいます。
古いパソコンを廃棄するにはデータの移行やバックアップ、データ消去、そして廃棄の依頼など、かなりの手間と時間がかかります。また、データの移行手続きや消去に専用のソフト・サービスを利用する場合、少なからずコストがかかります。古いパソコンの廃棄にかかる手間やコストを節約したいのなら、パソコンの調達から廃棄まで、追加コストなしでお任せできるPCLCM(PCライフサイクル管理)サービスの利用を検討しましょう。
株式会社インボイスでは、パソコンの生産・販売・修理・サポートまでを一体運営しているDynabookのノートパソコンをリースするPCLCMサービスを提供しています。パソコンを運用する上でよく発生するパソコンの調達、導入、運用保守、返却更新業務をまとめてサポートしてくれるので、自身でパソコンの廃棄を行う必要はありません。