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ISDN終了対応を前に、「何から手をつければいいか」で止まっていませんか。拠点ごとに通信構成がばらばらで、棚卸しに悩む担当者は少なくありません。ISDN対応には2028年12月31日のサービス終了というリミットが迫っています。
本記事では、2028年12月31日のISDNサービス終了(INSネット提供終了)に備え、回線・機器の棚卸しからひかり電話を中心とした移行の考え方までを、「棚卸し→判断→設計→継続」という流れで解説します。ISDN終了への対応は単なる回線の置き換えでは終わりません。
多くの現場では通信環境全体が整理されておらず、どの回線をどう移行すべきか判断できない状態にあります。だからこそ、現状を把握し回線と業務の関係を整理する「棚卸し」が出発点になります。
■参考
INSネットの新規申込受付・提供終了について | お知らせ・報道発表 | 企業情報 | NTT東日本
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対応が進まない理由は明確です。個別の回線をどうするかという問題ではなく、通信環境全体が整理されていないため「何をどこまで見直すべきか」の判断そのものができないことにあります。
ISDN回線をどう置き換えるか、コストと安定性のバランスをどう取るか。これらに唯一の正解はなく、拠点ごとに構成や用途が異なると一律には決められません。
契約や請求が拠点単位でばらけていれば、本社は全体像すらつかめず、情報はあっても判断材料として機能しないのです。
逆に言えば、全体を見通せる状態さえ作れば判断は動き出します。個別改善の積み上げでは全体最適にならないため、まず「見える化」に着手することが、見直しを前進させる最も重要な一歩です。
最初にすべきは「棚卸し」です。これは単なる回線の一覧化ではなく、各回線がどの業務に紐づき、どんな構成で使われているかまで整理する作業を指します。ここが整理されて初めて、「どう置き換えるか」「どこまで移行するか」を判断できます。
整理ができたら、まず実施すべきはISDNの音声回線を代替サービスへ移行し、現行業務を止めない通話環境を確保することです。これはINSネット終了に伴う必須対応で、業務継続を最優先に据えます。
移行先は複数ありますが、可用性・運用性の観点からIP電話への移行が現実的な前提となるケースが多く、本記事では代表例としてNTT「ひかり電話」への移行を念頭に解説します。

「どの回線があるか」を知るだけでは不十分です。実務ではその回線がどの業務で使われているかが曖昧なままのことが珍しくありません。
顧客対応や売上に直結する回線を、役割を確認せず移行すれば大きな業務影響を招きます。反対に、業務にほとんど関係しない回線は真っ先に見直し候補になります。「回線」と「業務」をセットで整理することが、次の判断フェーズの土台です。
特に注意したいのが、音声通話以外の用途でISDN回線が使われているケースです。たとえば店舗のクレジット決済端末、防犯カメラの警備通報、取引先とのEDI(電子データ交換)、G4FAXなどは、担当者が把握しないまま長年ISDN回線に紐づいていることがあります。
これらを棚卸し段階で洗い出しておかないと、移行後に「決済が通らない」「警備が作動しない」といったトラブルにつながりかねません。回線ごとに接続機器まで確認することが、後工程の手戻りを防ぎます。
棚卸しで最も有効なのは、毎月届く請求書と契約情報を起点にする方法です。請求書には稼働中の回線がほぼ網羅されているため、一覧化すれば、どの拠点でどの回線が使われているかを最短で可視化できます。
ポイントは回線数を数えるだけで終わらせず、各回線がどの業務に紐づくかまで踏み込むこと。この一手間で、使われていない回線(過剰)と、重要業務が集中する回線(リスク)が自然に浮かび上がります。
そのうえで、拠点ごとの必要チャネル数・番号数・オプション、さらに音声以外の用途(警備・決済など)も含めて、移行後の構成を現実的な形へ設計していきます。
【棚卸しイメージ】
| 項目 | 整理内容 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 回線情報 | 回線種別・契約内容 | ISDN/アナログ/光の区分 |
| 利用用途 | 通話・FAX・警備・決済など | 音声以外の用途の有無 |
| 業務紐づけ | どの業務で使用しているか | 顧客対応・内部業務など |
| 拠点情報 | 拠点ごとの配置 | 本社・店舗・拠点の違い |
| 利用状況 | 使用頻度・重要度 | 停止時の影響範囲 |
まずはこの整理をもとに、現行業務を継続できる構成を設計し、INSネットから代替サービスへの移行を成立させることが最優先です。通信環境全体の強化は移行完了後でも問題ありません。
次のフェーズでは、業務への影響という観点から優先順位を整理していきます。
棚卸しで対象が明確になっても、何を基準に優先順位を決めるかが定まらなければ判断は進みません。設備の種類や回線の新しさだけで決めると、現場の実態に合わない結果になりがちです。
重視すべきは「業務にどんな影響が出るか」の一点です。通信が止まって受発注が滞れば売上や顧客対応に直接波及しますが、社内の一部業務に限られる回線なら影響範囲も緊急度も異なります。

優先順位は「古いものから」ではなく、各回線が担う業務内容から決めるのが原則です。同じ回線でも、営業拠点の基幹業務か社内のサブ業務かで停止時の影響はまったく変わります。
業務ごとに「もし通信が止まったら何が起こるか」を洗い出せば、実際のリスクと必要な対策レベルが明確になります。
【例:優先順位の選定基準】
| 業務分類 | 停止時の影響 | 優先度 | 対応方針 |
|---|---|---|---|
| 顧客対応業務 | 売上直結 | 高 | 最優先で移行+対策 |
| 基幹業務 | 業務停止 | 中 | 早期移行+必要最小対策 |
| 内部業務 | 影響限定 | 低 | 後回し可能 |
| 補助業務 | 軽微 | 低 | 状況に応じて対応 |
「機器や回線の種類」ではなく「停止が引き起こす業務インパクト」を基準にすれば、過剰投資や不要な冗長化を避け、重要な部分にリソースを集中できます。この優先順位が固まって初めて、次の対策設計に進めます。
優先度の判断に迷ったときは、「その業務が半日止まったら、誰にどんな損失が出るか」を具体的に想像してみると整理しやすくなります。
顧客からの入電を受けられずに失注する、店舗の決済が止まって売上機会を逃す、といった金額や顧客影響に換算できる業務ほど優先度は高くなります。
逆に、社内の連絡や記録が一時的に滞る程度であれば、緊急度を下げても大きな問題にはなりません。
次は通信環境全体としてどこにどの程度の備えを行うかを設計します。重要なのは一律に強化しないこと。すべてに「最高レベルの備え」を導入するのは非現実的なので、「最低限」「止まりにくくする」「止まらないための高度な対策」のように段階を分けます。
短時間で復旧できる業務なら最小限のバックアップで足りる一方、顧客対応や売上に直結する業務には冗長化や自動切替が必要です。そのうえで、影響が大きい領域に重点配分し、限定的な領域は必要最小限にとどめることで、業務リスクに見合った備えを無駄なく実現できます。

安定運用には単一の施策では不十分で、冗長化・代替手段・保守体制を組み合わせて初めて備えになります。これはまさに通信BCP(事業継続計画における通信領域の備え)の考え方そのものです。
【通信BCPを構成する3層】
| 層 | 役割 | 具体例 |
|---|---|---|
| 冗長化 | 回線障害時の予備経路確保 | サブ回線・自動切替 |
| 代替手段 | 主要通信が止まった際の業務継続 | モバイル回線・クラウドPBX |
| 保守体制 | 迅速復旧の仕組み | 24時間サポート・遠隔監視 |
もう一つ見落とせないのが、「どこが止まれば、どこまで影響が広がるか」という止まり方の理解です。複数業務が一つの回線に集約されていれば、その障害で想定以上の範囲に支障が出ます。
逆に業務ごとに経路を分ければ影響を局所化できます。たとえば、本社と全店舗の通信が1本の主回線に依存していると、その回線の障害で全拠点が同時に停止しかねません。重要拠点だけでもサブ回線やモバイル回線を用意しておけば、被害を一部にとどめられます。
なお、こうした冗長化・バックアップ強化(通信BCP領域)は、ISDN終了に対する最低限の移行対応とは別の検討領域です。多くの場合、まず移行を完了させ、その後に段階的に実施する形で問題ありません。
ISDN終了という「締め切り」があるからこそ、まずは音声回線の移行を確実に済ませ、通信BCPは自社の体力やリスク許容度に合わせて計画的に進めるのが現実的です。
実装して終わり、ではありません。拠点の増減、業務内容の変化、障害傾向の変動など、企業を取り巻く環境は絶えず変化します。一度決めた構成が長期間そのまま最適であり続けることはほとんどなく、通信環境の判断も継続的に見直す必要があります。
【判断サイクルを回す変化のトリガー】
| 変化のトリガー | 見直すポイント |
|---|---|
| 拠点の新設・統廃合 | 回線数・チャネル数・番号数 |
| 業務内容の変更 | 用途と業務の紐づけ |
| 障害発生傾向の変化 | 冗長化・代替手段の配分 |
| 契約更新・料金プラン変更 | コストと安定性のバランス |
継続的な見直しには「判断を回せる状態」を保つ仕組みが欠かせません。請求・構成・運用の情報が分散していると、変化が起きても素早く判断できません。これらを横断的に整理し、必要なときにすぐ判断材料として使える状態にしておけば、拠点数や業務が変わっても実態に即した最適化を続けられます。
たとえば、新しい拠点を開設した際に「回線構成表」が最新化されていれば、既存拠点と同じ基準でチャネル数や冗長化の要否をすぐに判断できます。反対に、情報が担当者の記憶や個別ファイルに散らばっていると、異動や退職のたびに把握し直す必要が生じ、判断の質もスピードも落ちてしまいます。
「一度作った棚卸しを、変化に合わせて更新し続ける」という運用ルールを決めておくことが、継続的な最適化の土台になります。
ここまでの流れは任意の手順ではなく、前の段階が整わなければ次に進めない一連のプロセスです。
この4段階を体系的に進めれば、場当たり的な対応や過剰投資を防げます。ISDN終了は、単なる回線切り替えではなく「判断できる状態を作る」絶好の機会です。
ISDN対応は、2028年12月31日のサービス終了というリミットが迫っています。終了が近づくほど移行工事の申し込みが集中し、希望する工事日を確保しにくくなることが見込まれます。早く動くほど、工事スケジュールにも移行方法にも余裕をもって臨めます。
とはいえ、回線契約・請求情報・業務紐づけを横断的に整理するには複数部門の連携が必要で、社内だけでは着手が滞りがちです。当社では、通信費データをもとにした拠点別の「回線構成表」作成から、移行後のコスト削減額の試算、構成設計、継続的な最適化までを一体で支援しています。
まずは自社の回線構成を見える化するところから始めてみませんか。
NTT東日本・西日本のINSネット(音声サービスを含む)は2028年12月31日に提供終了予定です。移行工事は拠点数に応じて数か月〜1年以上かかる場合があり、期限直前は工事枠の逼迫も想定されるため、早めの着手が望ましいといえます。
まずは毎月の通信費請求書を起点に、回線種別・拠点・利用用途・業務紐づけを一覧化する「棚卸し」から始めてください。請求書には稼働中の回線が網羅されているため、契約書と突き合わせることで現状を最短で可視化できます。
警備通報・クレジット決済端末・FAX・EDIなど、音声以外の用途は少なくありません。これらはひかり電話で必ずしも代替できるとは限らず、専用のIP対応機器への切り替えや、モバイル回線・専用線などの別ソリューションが必要になる場合があります。棚卸し段階で「音声以外の用途」を洗い出しておくことが、移行トラブルを防ぐ最大のポイントです。
優先すべきは「INSネット終了に伴う音声回線の移行」で、通信BCP(冗長化・代替手段の整備)は移行完了後に段階的に進める形で問題ありません。ただし、棚卸しの過程で単一障害点や業務集中回線が明らかになった場合は、移行設計と同時に冗長化を検討したほうがコスト効率は高まります。
回線契約・請求情報・業務紐づけの横断整理には経理・情報システム・総務など複数部門の連携が必要で、社内のみでは着手が滞りやすい領域です。当社では通信費データの整理から拠点別の棚卸し、移行後の構成設計、継続的な最適化までを一体で支援しています。判断材料が揃わない段階からのご相談も可能です。
監修者|在籍するひかり電話切替アドバイザー
野中 啓祐(のなか けいすけ)
株式会社インボイス ICT営業部
■経歴
2004年に株式会社インボイス入社。約10年間にわたり新規顧客開拓・既存顧客フォローを経験し、2015年より光コラボレーションの営業マネージャーとして大手企業から中小企業まで幅広く担当。
「実現可能なプランニング」をモットーに、これまで300件以上のひかり電話切替支援を実現している。
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